日本橋の朝は、午前7時からはじまる
日本橋ワーカーの朝は早い。
もちろん、個人的な話である。
午前7時には日本橋駅にいる。
始業時間が早いわけではない。モーニングを楽しむためだ。
モーニングのために、通常より数時間早く起きる。
だが自分は朝が弱い。
朝早く起きることが求められる時、早起き自体がプレッシャーになり、眠れない。つらい。
もし毎日出社が求められる職場だったら、このモーニング生活は成立していない。
週にほんの少し。時には行かない週だってある。だから長続きし、自然と日常の一部になった。
さて、肝心のモーニングをどこで過ごすか。
日本橋でモーニングを楽しめる店はいくつもある。
あれこれ回ってみるのもまた一興だが、自分の場合は、最初からずっと同じ場所だ。
コレド日本橋にある、上島珈琲店。
言わずと知れたチェーン店だ。日本橋でなくてもある。
ではなぜ、ここなのか。
まず、アクセスの良さ。
地下鉄日本橋駅から直結しており、どんな天候でもお構いなし。
次に、空間の心地よさ。
薄暗くも温かな店内はどこか、照明を落としたホテルの客室を彷彿とさせる。
そして、メニューのクオリティの高さ。
ご存じの通り、上島珈琲店、ドリンク単品の価格は結構高い。でもモーニングでは、ボリュームのあるおいしい食事とともに、お得な価格で楽しめる。
頼むメニューは固定化しており、ベーコンエッグ&厚切りバタートースト。
ドリンクは、黒糖ミルク珈琲。夏はアイス、冬はホットで。
通っているうちに、店員さんが顔を覚えてくれた。
ドリンクを渡してくれるとき、食事を届けてくれるとき、声をかけてくれる。
ささやかな心遣いをくれることも、ここに通う理由だった。
そんな日常の一部だった上島珈琲店。2026年10月半ばに閉店が決まっている。
厳密にいえば、上島珈琲店が入っているコレド日本橋そのものが閉館する。
コレド日本橋は姿を変え、2027年秋に開業する東京ミッドタウン日本橋の一部としてリニューアルするそうだ。
「人生を変えた日本橋 -ウォルドーフ・アストリア東京日本橋 開業を待ちながら」でも記したように、東京ミッドタウン日本橋、そしてその上層階に入るウォルドーフ・アストリア東京日本橋の開業を、心待ちにしている。
でもそれと同じくらい、自分にとって朝の風景であったコレド日本橋の終焉に、寂寥感が絶えない。
コレド日本橋が東京ミッドタウン日本橋に姿を変えた先に、上島珈琲店が再び入るのか、現時点ではわからない。
入ってくれたらうれしいが、今の佇まいと完全に同じということはないだろう。
新しく生まれる建物と、それに伴い幕を降ろす建物。
これもまた、日本橋の再開発を巡るひとつの物語なのかもしれない。
コレド日本橋で過ごした午前7時。
この場所で受け取った温かさと、出社前の静寂。
その朝を、3分48秒に残した。
2027年秋に、また日本橋で。
